給付制限期間でも受給できる:再就職手当の仕組みを解説

失業保険給付を全額受け取ろうとすると、自己都合退社であれば初回給付金の振込まで3か月近くは時間を要します。
そこから満額支給を受けようとするとトータルで半年以上に…。

当然この間は無職であることが前提ですので、
「貰えるものは貰っておきたい」と思っても、そこまで長期間働かないわけにはいかないという人もいるのではないでしょうか。

実は、通常の失業保険給付に比べると知名度は低いのですが、失業保険には早期に再就職を決めた人を対象にした「再就職手当」という給付の仕組みが存在します。

早期の再就職を想定している方にはうってつけのこの仕組み。
今回の記事では、「再就職手当」について解説していきます。

再就職手当の基本

再就職手当とは、
失業保険の所定給付日数を1/3以上残した状態で再就職を決めると、残った日数に応じて一時金が支払われる仕組みです。

具体的な算出式は以下のとおり。

  • 所定給付日数の残日数が2/3以上の場合
    基本手当日額 × 給付日数の残日数 × 70%
  • 所定給付日数の残日数が1/3以上の場合
    基本手当日額 × 給付日数の残日数 × 60%

    ※残日数が1/3を切ると一時金は支給されません。

先述の算出式にあるとおり、失業保険給付として受給する場合の60%~70%の金額にはなりますが、早期の再就職を予定している場合はたいへんありがたい仕組みです。

再就職手当のメリット①:「給付制限期間」の影響を受けない

退職理由でいちばん多いのは「自己都合退職」ですが、自己都合の場合は失業保険が給付されるまでに基本2ヵ月間の「給付制限期間」が設けられています。
諸々の手続きも含めると、初回の失業保険が給付されるまでに3ヵ月程度は時間がかかります。
これをネックと捉える人もいるのではないでしょうか。

再就職手当の受給では、この給付制限期間は関係ありません。
待機期間満了日以降に就職を決めた場合に支給されますので、退職から1ヵ月に満たない期間で支給を受けることも可能です。
(※給付条件の詳細は最下部に掲載

再就職手当のメリット②:条件次第では追加の給付がある

再就職手当と併用できる給付として、就業促進定着手当があります。
これは再就職後の賃金が以前の雇用先からの賃金に比べて低下した場合に、一定の割合で一時金が支給されるものです。
(※詳細は別記事にて掲載)

条件も限定的で、狙って受給するようなものではないかもしれませんが、条件に該当する場合は手続きを行いましょう。

再就職手当のデメリット:最初の1ヵ月間は紹介事業者の制限がある

給付制限期間後、最初の1ヵ月の就職については、
ハローワーク、または許可・届け出のある職業紹介事業者の紹介による就職である必要があります。
これには一般的な求人サイトや転職エージェントなどは含まれていません。

別記事で掲載しますが、業種によってはハローワークでの求人はあまりおすすめできない部分もありますので、注意が必要です。

もうひとつ、再就職手当の受給には申請が必要です。
支給条件を満たした状態で再就職したとしても、こちらから申請しなければ支給されませんのでここも要注意です。

再就職手当の給付条件

  • 就職日の前日までの基本手当の支給残日数が、所定給付日数の1/3以上あること
  • 1年を超えて勤務することが確実であると認められること
  • 待期期間満了日後の就職であること
  • 離職理由による給付制限を受けた場合は、最初の1か月間についてはハローワーク、もしくは許可・届け出のある職業紹介事業者の紹介により就職したものであること
  • 離職前の事業者に再び雇用されたものでないこと
  • 3年以内に再就職手当、または常用就職支援手当の支給を受けていないこと
  • 失業保険給付の手続き開始前からもともと採用が内定していた事業者ではないこと
  • 原則、雇用保険の被保険者要件を満たす条件(週20時間以上、など)での雇用であること

コメント

タイトルとURLをコピーしました