
以前に比べると、「フリーランス」という立場で働く人も珍しくはなくなりました。
時代の変化とともに、「自分の好きな場所で働きたい」「時間に縛られずに自由な働き方をしたい」という理由でフリーランスを選ぶ人が増えています。
しかしその一方で、「下請け的フリーランス」という問題が顕在化し始めています。
これは「フリーランス」という言葉を隠れ蓑にし、企業の都合に合わせて使い捨てられる存在としてのフリーランスのことです。
今回は、この下請け的フリーランスの問題点について考えていきます。
下請け的フリーランスは、企業にとって都合のいい調整弁でしかない
私がサラリーマン時代に働いていた会社では、フリーランスは「使い勝手のいい調整弁」として扱われていました。
企業側にとっては、雇用契約を結ぶことなく必要な時だけスポット的に依頼できるフリーランスは非常に都合の良い存在です。
例えば、企業からスポットで仕事を受けるフリーランスは、仕事の内容自体はその企業の従業員と大差がない場合もあります。
しかし、従業員が享受している数々のメリット(社会保険・安定した給与・会社のインフラ利用・その他福利厚生など)は得られません。
さらに、税金の申告や経費管理といった総務的な業務もすべて自分で行わなければならないため、その分の負担が増します。
これではわざわざフリーランスとしてその仕事をするメリットがほとんどありません。
企業側からすれば、人を雇うには多くのコストがかかり、一般的には給与の1.5~2.0倍のコストになると言われています。
給与に加え、社会保険料、福利厚生、退職金、さらには労務管理の手間も必要なためです。
一方、フリーランスであればそのような負担がなく、報酬だけを支払えばよいため、コスト削減のための調整弁として非常に便利な存在となるのです。
何より、一度人を雇用すると、各種法律によって守られるためそう簡単には解雇できません。
その点、必要な時に必要なだけ仕事を依頼することができるフリーランスは、企業にとって「都合の良い存在」として使い倒される状況が生まれています。
下請け的フリーランスになりがちな仕事内容
下請け的フリーランスとして使われてしまいがちな仕事には、以下のようなものがあります。
- データ入力:
定型的で付加価値が低く、誰でもできる業務の代表例。大量のデータを処理するためにフリーランスが多く使われがちです。 - 単純な作業代行:
例えば、資料作成やリサーチ業務など、特に高度なスキルを必要としないタスク。 - システムのテストやバグチェック:
一定のITスキルが求められるものの、基本的には手順に従ったチェック作業が中心で、創造性や独自性を発揮する機会が少ない仕事。
これらの業務は、スキルの向上やキャリアの成長に繋がる機会が少なく、企業にとってはコストを抑えるための手段として使われるケースが多いです。
一方で需要も多いため、仕事を獲得するのは比較的容易です。
フリーランスとして駆け出しの頃であっても、こういった仕事を受けていれば仕事が無くて困るといった事態にはあまりならないでしょう。
しかし、これらの仕事で長期的に生計を立ててゆくことはおすすめできません。
下請け的フリーランスにならないために
フリーランスとして成功するためには、他の人と差別化された価値を提供し、自分自身を高め続けることが重要です。
以下の2つのポイントが、下請け的フリーランスから脱却するために重要です。
フリーランスの仕事は世の中に溢れているため、仕事を選ばなければ意外となんとかなってしまうものです。
しかし、それは長期的に見たときに多くのメリットを享受できる働き方ではないかもしれません。
「フリーランス」という言葉の響きに惑わされ、ただ企業の都合の良い調整弁として使われる「下請け的フリーランス」に甘んじていては、「サラリーマンとして働いていた方が良かった…」という後悔に繋がってしまうこともあり得ます。
転職やフリーランスの選択肢を検討する際には、その言葉の意味と実情をしっかり理解し、自分にとって最善の道を選びましょう。
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